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2017.11.07ラスト・東洋医学とは part7

臓腑弁証の最後の場所は「腎・膀胱」です。

この臓腑は授業でも時間をかけて行うし、ノートのぺージ数もボリュームがあり、しっかりと勉強するところ。

生殖器系の働きも持つので、女性の不妊症や月経にも深く関わってくる臓腑です。では早速本題へ!

 

 

腎は第2腰椎の高さにあり、左右1つずつ存在しています。

色は黒色で、豆のような形をしているとされています。

 

腎は“蔵精を主る”とされていて、成長発育生殖に深く関係のある臓腑。

精とは生きるためのエネルギーのことで(生命力)、両親から受け継いだもの(先天の精)と、飲食物を脾と胃の力でエネルギーに変えたもの(後天の精)の2つあります。

この精と呼ばれるエネルギーはすでに幼年期の頃から増え始め、正常に増えていくことで歯がはえ、髪の毛が伸び、年頃になり満たされると月経を起こしてくれます。

そしてこの腎精は年齢と共に増減していき、老年期になると腎精は衰え、性機能と生殖能力はこれに伴って減退・消失していきます。

 

このように腎精が満たされていると、正常に成長していくことができますが、腎の機能が弱まったり、腎精をむやみに消費すると月経に異常をきたしたり、不妊症に悩まされたり、年を重ねたときに更年期障害を引き起こしてしまいます。

不妊症の方の治療では、必ずこの腎精(エネルギー)を補うような治療を組み込みます。

 

そして“水を主る”とも言われており、体内の津液(水分)の貯蔵や運行、排泄をコントロールしてくれています。

腎の働きが元気であれば体内の水分調節は上手く行われ、一定の水分量をキープできていますが、働きが滞ると浮腫みや下痢、尿の排泄ができなくなります。

 

また“納気を主る”ともいって、肺に入った酸素を腎の高さ(腰から下)に下り納める働きを持っています。

お臍の下の丹田という場所まで深く呼吸を取り入れることで、呼吸が浅くならないようにしてくれています。

浅い呼吸は交感神経が働いている証拠。ゆったりと深い呼吸を行うことでリラックスへ導くことができ、結果全身へ血流に乗せて酸素や栄養を運ぶことができます。

 

腎の中の精(生命エネルギー)は、生命活動の源であり、元になります。

このエネルギーは陰と陽の2つにわけることができるのです。

 

以前「陰陽論」の回でご説明していますが、自然界の中に存在するものはすべて陰と陽に分けることができます。そして左右合わせて2つある腎も陰陽に分けることができ、また働きも左右の腎で異なります。

これらは陰の元、陽の元ともいわれるくらい、体の陰陽のバランスにおいてとても大切な場所。

陰である右に存在する腎は、その性質を使って体内の熱の発生を防いだり、滋養する働きを持ちます。

陽である左に存在してる腎は、体を温めたり成長を促すことが得意です。

 

 

腎は正常な成長に深く関わることから、その異常は骨や歯、脳にも現れてきます。

腎の働きが正常な時は骨や歯は丈夫で、また知能も正常ですが、働きが弱まると骨や歯がもろくなったり、小児の泉門閉鎖が遅くなったり発育不良が起こります。

 

また、その他にも髪や耳、唾などにも異常を出すことによって不調のサインを送ります。

髪の毛の艶がない、白髪が増える、脱毛、排尿障害や不妊、難聴などのような症状は腎の機能が弱まっているサイン。

年を重ねて白髪が増えたり、耳が遠くなったり、骨がもろくなったりするのは、年齢とともに腎精が減り、そのサインが髪の毛に現れているからなのです。

 

腎は「驚・怖」といった感情も主っています。

恐は物事に対して恐れる精神状態のこと。自覚のあるもの、おどおどした状態のことを言います。

驚は突然受けるショックのようなもので、自覚なく突然起こります。

これらは2つとも不良感情であり、気を下降させ、乱れさせる働きを持ちます。

 

腎とペアになっている「膀胱」。

膀胱はお臍の下にあり、腎の下、大腸の前に存在している腑です。

 

東洋医学でも、膀胱は袋状をしていて、尿を貯めたり出したりする働きを持つとされています。

余分な津液(水分)や食べ物のカスの中の水分から尿を作り、膀胱に一定時間貯めた後、大鯨へ排泄する働きを持っています。

 

 

以上で五臓六腑の各臓腑の働きのお話は終わりです。

東洋医学で面白いところは、感情や色、季節といったものまで臓腑に関係していると考えるところ。

逆に難しいところは、一つの働き(水分を作る、気を巡らすなど・・・)に関して、いくつかの臓腑が関わって働いていること。

だから東洋医学で治療をする際は、症状が出ている1つの臓腑だけを治療するのではなくて、そこに関係するいくつかの臓腑を同時に治療してあげないといけないのですね。

 

西洋医学と東洋医学、うまく使い分けて選択してください(^^)

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