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2017.10.27東洋医学とは part5

こんにちは!

先週末の台風はとても勢力が大きかったですね。大阪に来て10年になりますが、こんなに台風が怖いと思ったことは初めてかも・・・。

みなさまの周りは被害ありませんでしたか?

 

さて、今日は女性にはよく知ってほしい「脾・胃」のお話です。

不妊の方の治療をする時だけではなく、女の人の体を診るときはとても重要なポイントとして診ています。

それはなぜか・・・さっそく始めます!

 

脾は横隔膜の下あたり、胃と同じ膜の上にあるとされています。

形は馬蹄のような三日月のような形をしていて、飲食物の消化に深く関わり、気・血・津液(体の水分)の大元とされています。

 

西洋医学的な脾(臓)のとらえ方は免疫や造血、血液の貯蔵に関わるとされているので、東洋医学的なとらえ方と大差はありませんね。

 

東洋医学的な脾の働きのとらえ方は

〇食べた物をエネルギーの元に変換する

〇内臓が下がらないようにつなぎとめる

〇栄養物質を全身に運ぶ

〇吸収した栄養や水分を全身に運ぶ

〇血が脈外へ漏れ出さないように調節する

 

なかなかの働き者です(^^;

これらの機能によって、私たちは手足を正常に動かすことができ、各臓腑の間で繋がっている経絡が正常に流れるのです。

 

もしもこんな働き者の脾が過労で弱ってしまい、正常に働くことができなかったら・・・

 

食欲は弱まり、食べても消化不良を起こして栄養を吸収できなくなります。

栄養を吸収できていないので肌肉は痩せ、エネルギーがないのでいつも無力感があり、動くとすぐに疲れてしまう。

内臓を持ち上げる力がなくなってしまうので胃下垂や子宮下垂、脱肛なども脾の機能低下による症状の1つです。

月経の際に血量が多かったり、周期が短い(月経過多)のは、脾の血を固める力が弱まっていることが原因と考えます。

 

脾は「思(う)」という感情を司っています。思うとは思慮・思考のこと。

考えすぎや憂鬱が続くと脾が痛み、気の運動を妨げ、気滞や気結を起こしやすくなります。

気滞は文字の通り「気が停滞」してしまうことですが、この状態になると胸や脇が苦しい感じになり息苦しさを感じたり、お腹が張ってきます。

 

冒頭に、特に女の人に知ってほしいと言ったのはこのことなのです。

少し先のことにも備えておきたい習性をもつ女性は、考え事がとにかく多い。私もそうです。

そしてまだ起こっていない2歩も3歩先の心配も自ら探して、作って、また考える項目を増やしてしまう傾向があります。

こんなことをしていたら脾は24時間勤務をしているのと同じなので、慢性的に疲れてしまいます。

 

考え事は減らし、先のことは1歩先のことだけを考えましょう(お仕事は別として)。

それくらいが、女性にはちょうどいいのかもしれません。

 

脾の状態が現れる体の場所として、口や唇、涎(よだれ)があります。

食べることと深い関係があるため、すべて味覚に関係していますね。

唇は気血の状態を表すので、唇が割れやすい、血色が悪い(色が薄い、青紫色)唇をされている方は脾の機能が弱まり、気血が足りていない状態の方です。

 

脾とペアである胃の働きは食べた物を受け入れ、消化し、そして小腸に降ろすことです。

そのことを東洋医学では「受納・腐熟・通降」といいます。

 

食べた物を胃に受け入れ、消化し、小腸へ送ることで新たなスペースを作り、また食べ物を受け入れることができ、私たちは生きるための血や水分や気を作ることができるのです。

もし胃の働きが弱まり、この一連の働きが低下してしまうと、しゃっくりや胸やけ、吐き気として体に現れます。

 

 

 

そして、脾と胃が消化するものは食べ物だけではありません。

嫌なこと、不快に感じたこと、あなた自身に起こった物事すべてのこと指します。

 

納得してすっきりする様子を「腑に落ちる」と表現しますよね?腑は臓腑の腑です。

自身が納得出来ていないことは、ずーっと頭や心やお腹にとどまり、停滞して、そして体を傷つけてしまっているのです。

もちろん、全てのことをきれいさっぱり終わらせることなんてできませんが、

それならそのことに捕らわれるのをやめて断つ努力をしましょう。それはあなたの体のためでもあります。

 

不妊治療に来られる方や、どこかに不調を抱えている方はこの考えすぎ・物事の消化が得意ではない方が多いと思います。

考えを断つ・減らす努力をしていきましょうね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017.10.22東洋医学とは part4

こんにちは。鍼灸師の楠田由佳です。

ここしばらくはお灸講座のリーフレット作りや、娘の看病でばたばたしておりました(^^;)

 

東洋医学を知りたいという方向けのシリーズなので、興味のない方はスルーしてくださいね。

ですが、こうやって東洋医学について教科書やノートを開いてまとめていると、やはり勉強にもなって、患者様に説明させて頂く際に伝えやすくなってきました!

 

資格を取ってからが、本当の勉強の日々ですね。

では早速本題に入りましょう!肝と胆のペアの次は「心・小腸」のペアです!

 

心は肺の下で横隔膜の上に位置していて、4本のつり糸が出ており、他の4つの臓(肝・脾・肺・腎)に通じているとされています。

 

心の仕事は

①血脈の流れをコントロールすること

②精神活動を支配すること

 

 

血を押し出し、血脈中を運行させ、体の中の各組織・器官に栄養を送り届けてくれます。

正常に働いていると脈(拍動)は規則正しく打ち、力強く滑らか。

しかし心の働きが弱まり血脈がスムーズに流れなくなると・・・

脈は弱く、渋るような、ぎこちない脈となります。不整脈の方に多くみられます。

 

また精神活動を支配しているので、心の安定と調和を保ってくれるように働いてくれています。

そのため心は「神(精神)」を宿すとも言われています。

 

心の働きが正常で血で満たされている時、私たちの精神は安定し、思考は正常に働きます。

問題に対しても思考がよく働きますが、機能が弱まってくると不安や焦燥感にかられたり、不眠や夢を多く見るなど睡眠にも症状が現れます。

 

心の健康状態は顔・舌・汗など場所に現れます。

心が元気に働いてくれていると、顔は艶が出て潤いがあり、味覚は正常に働き、自分の精神(考え)を伝えるために舌を使って話すことができます(^^)

心が元気ない時ってありますよね?そんな時、今日は顔が暗いね~なんて言われたことありませんでしたか?

心の状態は顔に現れます。

 

他には喜びなどの働きも備えています

「心の汗」と例えて言ったりもしますが、臓象学説では心は汗を司るとしていて、温度や運動量に合わせて汗の量を調節してくれるといわれています。

また心は「喜」という感情を司っています。

喜ぶという感情は、人体に対していい刺激を与えてくれる感情ですが、喜びすぎるとかえって心神を傷つけてしまいます。

嬉しいことがあった時こそ、気を引き締めないとですね。

 

 

心とペアを組んでいる小腸は胃の下口(幽門)に接していて、食べ物を入れ、大腸の上口と接するとされています。

体の中の位置関係といい、西洋医学的な小腸の概念とほぼ同じですね。

小腸の働きは

1・胃から送られて飲食物を受け取り、更に消化してエネルギー(水穀の精微)と変化させること

2・その消化した飲食物を、人体に有益なものか・不要なものかに分別すること

 

 

食べた物を消化し、エネルギーに変え、必要のないものは水分と混ぜて便として排泄させるのが小腸の働きです。

小腸の働きが悪くなってしまうと、下痢や下腹部痛・尿の異常(血尿や排尿時通)として現れます。

小腸は、西洋医学でも東洋医学でも消化と排泄に関係しているとされているので分かりやすいですね(^^♪

 

心と小腸ペアについては以上です!

東洋医学シリーズはマニアックな方向けなので、長引かせたくないのですが・・・

次のペアは女性にとってとても重要な場所なので、濃く濃くお伝えしたいなと思います。

 

 

2017.10.04東洋医学とは? part3

こんにちは!

息抜きに違うテーマをいくつか挟みましたが、そろそろ東洋医学シリーズを再開していきたいと思います。

 

次にご紹介する理論は臓象学説といって、臓腑にはそれぞれ役目や関係の深い器官があると考えて、「今不調を起こしているのはどこの臓腑かなぁ~」と考えていく理論です。

私たち鍼灸師は患者さんの訴える症状や、体に現れているサインを読み取って、どこの臓腑がどんな病によって弱っているかを考えて治療方針を組み立てていくので、この考え方はとっても大切です。

 

「臓=内臓」「象=外に現れている内臓の不調サイン」

 

人の不調や病の現象を観察して、各臓腑と照らし合わせることによって、その相互関係を解き明かす理論のことです。

はるか昔の人たちが解剖を行うことで得た解剖知識や、症状とその原因の関係性を長い歴史をかけて観察して得た知識と経験から成り立っています。

 

臓腑とは内臓の総称のことで、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓と、「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」の六腑を指します。

この五臓六腑にはそれぞれペアとなる相手がいて、ペア同士・ほかの臓腑同士でお互いにバランスを保ちつつ、助け合ったりして正常な働きを行っています。

 

まず、肝と胆のペアからいきましょう。

肝の働きは「気血が止まらないように動かすこと」です。

中に取り込んだり外に出したり、上にあげたり下にさげたり常に気血を動かし巡らすことで、人が正常に生命活動を行えるのです。

 

そしてもう一つの働きは「血を貯蔵する」こと。これは西洋医学的な解剖と同じですね。

イラストは肝が関係している(司っている)器官や物事を集めたものです。

体の器官だけではなく、感情や意志、味覚や季節などもあります。こういう点が西洋医学と東洋医学の大きな違いです。

 

さて肝の働きがスムーズに行われていると、筋肉はスムーズに動くので機敏に力強く動くことができます。

爪はほんのり赤く艶があり、硬さもあるので簡単に割れたりもしません。目は適度に潤いを保つことができ、ドライアイになることもなく物事がよく見えます。

 

しかし何らかのことが原因となり働きが弱くなると・・・

イライラしやすくなったり、爪が白く割れやすくなったり、肝の病(肝硬変など)におかされ目が黄色くなったり、肝に関係する器官にサインが現れるようになります。

 

なんのこっちゃかと思いますか?

運動後にたくさん筋肉を使った後、疲労回復には梅干しやクエン酸を摂取すると良いとされていますが、どちらも酸っぱいもの。

青春のことを「青い春」と、春といえば世間一般的なイメージではピンクですが、青を使って表現しています。

気づいていないうちに、実は臓象学説に触れてたりします。こう考えると、すこーしだけ身近に思えてきますよね。

 

 

もう一つ、肝とペアとされている「胆」の働きは「胆汁の貯蔵と排泄」。

胆汁は脂肪の吸収を助ける分泌液です。このことから、食べたものをスムーズに消化にするために大切な場所です。

そして「決断を司る」ともいわれています。

肝が巡らした考えを、胆が決断を下すことで行動力の源となるのです。胆の働きが低下するとよくため息がでたり、頭の中であれこれ考えはするけれど中々決断を下せず、行動に移せなくなってしまいます。

 

 

ものすごくイライラしたときに、「腹が立った」「カッとして頭に血がのぼった」など、実際怒ってもおなかは立ってないし、血がのぼっているわけではないけれど、昔から日本人は身体を使ってこんな風に例えてきました。

 

このことを鍼灸の学校の授業で教えて頂いたときに、わたしは東洋医学をとても身近に感じ、そしてもっと知りたい、深く勉強したいと思いました。

 

難しそうな東洋医学ですが、みなさんに少しでも知って頂いて好きになってほしいです(^^)