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2018.03.25砂糖のお話

今日は砂糖のお話。

 

妊活に励む方、今お腹に赤ちゃんがいらっしゃる方、産後赤ちゃんのお世話に忙しい方、

甘いもの好きですか?よく召し上がりますか?

私はめっっちゃ大好きでした。

産後は、夜間授乳を頑張った自分へのご褒美として毎日シュークリームやエクレア、プリンを食べていましたが…

 

今は自分の経験も含めた上で、

治療に来られる方には甘いものは止めて欲しいと伝えます。

 

砂糖(以下、糖と記載します)を沢山摂り続けると何が問題かというと

①腸管の炎症をひきおこす

②鉄の吸収を邪魔する

③コルチゾールが大量に分泌される

からです。

 

腸管の中には善玉コレステロール(LDL)と悪玉コレステロール(HDL)の二種類のコレステロールが存在します。

 

善玉コレステロールとは血液中の余分なコレステロールを回収し運ぶことがお仕事。

悪玉コレステロールは動脈硬化を促進したり、血管を詰まらせる危険因子となります。

 

糖を摂ると、その糖を消化するために沢山の酵素を消費していきますが、酵素を使っても消化できなかった糖は胃や腸に張り付いて残ります。

張りついた糖は胃がんや胃炎を引き起こすピロリ菌の大好物。

胃炎や胃がんにならないため、体内では白血球がピロリ菌と戦ってくれるのですが、この役目を終えた白血球の死骸を掃除する度に今度は活性酵素が増えていきます。

この活性酵素が増えると悪玉コレステロールが増え、結果胃や腸管の炎症を引き起こしてしまうのです。

 

腸管の炎症が起こると栄養を吸収することができなくなりますので、炎症を起こしつづけるということは栄養失調状態を引き起こします。

炎症により吸収できなくなるものの中には「」も含まれます。

妊娠、妊娠維持、胎児の発育、産後うつの予防にも必要とされる鉄が吸収できないのは大問題ですね。

これが妊娠前後の女性には特に糖の摂りすぎを止めてほしい理由の1つです。

 

①ご飯や甘いものなど糖を摂ると、体内では血糖値が急上昇します。

②すると今度はインスリンというホルモンを出し血糖値を下げていきます。

③再び血糖値の低下をキャッチした体は、血糖値を上げるために副腎からホルモン(アドレナリンとコルチゾール)を分泌させます。

これにより、血糖値の下がりすぎを防ぐことが出来るのです。

 

体の中で起こる①~③の反応が長期的に続くと、たくさん働いた副腎はだんだんと疲れてしまいます。

副腎が疲れるとその影響は甲状腺や卵巣にまで波及します。

その結果、卵巣で作られるホルモンの低下が妊娠力の低下に繋がっていきます。

 

また血糖値の低下をキャッチし、上げようとするアドレナリンは興奮状態に導くホルモン。

アドレナリンが分泌されることで攻撃性が増し、イライラしたり怒りっぽくなったりと心を不安定にしたりギスギスさせたりさます。

糖の過剰摂取は心の状態にも影響を与えるのです。

 

甘いものを食べると、私たちは幸せな気持ちになりますよね。

脳からセロトニンという幸せホルモンが出るためです。

これが甘いものを止められない理由。

“砂糖依存症”とも言えます。

 

✔便秘や下痢をおこしやすい

✔お腹がはりやすい

✔甘いものをよく食べる

✔皮膚に不調が出やすい(湿疹、吹き出物、アトピーなど)

✔いつも疲労感を感じる、疲れやすい

✔胃薬を長く飲んでいる

✔生理の度に鎮痛剤を飲んでいる

 

いくつか当てはまる方は要注意です。

すでに腸の炎症を引き起こしているかもしれません。

妊活歴が長い方、特に卵胞が育ちにくい・排卵障害や黄体機能不全など改善したい症状がある方は砂糖断ちをお勧めします。

覚悟を決めて実践すると基礎体温から変わってきますよ。よ。

 

2018.02.15女性専門サロンになった理由

私は元々スポーツトレーナー志望でした。

そのために高校卒業後は新潟のトレーナーの専門学校にも通わせてもらったし、専門学校卒業後はスポーツ鍼灸の分野を学びたいと鍼灸師の学校にも通い、トレーナー活動もしていました。

結婚のタイミングで現場に出ることは難しくなったのですが、体のこと(主にケガや障害のことや治療のこと)を学びたくて整形外科に入社。

目標としていたスポーツの現場から離れた私には、まだはっきりとした目標は定められず、ただ漠然と整形外科疾患や鍼灸治療の勉強に励んでいました。

 

そんなとき自分の常識が崩れる出来事がありました。

そのことがきっかけで、この世に生まれてきた小さな命が健やかに成長できることは当たり前ではないのだと知ったのです。

命を授かることも、無事に出産に至ることも、そして産まれてきた赤ちゃんの成長を見守り続けられることも奇跡。

自分に起きたことじゃないのにとても哀しくて衝撃的で、とにかく泣きました。

しばらくはぼーっとしてました。

 

そんなことがあって、自分がなりたいのは”みんなの”じゃなくて

“女性”のための鍼灸師になろう、心に寄り添える鍼灸師になろうと決めました。

人生のなかでも心が大きく動き不安になりやすい妊娠・出産の時期に寄り添って、少しでも力になれたら。

しんどい時期に、誰か1人、愚痴や弱音を聞いてくれる治療家がいたら…。

「こんな治療院があったらいいな」「こんな鍼灸師の先生がいたらいいのにな」、そんな風に自分が思うのであれば、きっと他にもそう思う女性がいるのではないかと思い妊活・妊娠・出産期のケア専門の鍼灸サロンを立ち上げました。

 

女性同士、同じ環境を経験した者同士、共感しあい励ましあいながら、心地よく体のケアもできる鍼灸院にしたいと思っています。

 

 

 

2018.01.05小児四肢疼痛発作症

明けましておめでとうございます。

昨年は沢山の方に助けて頂き、目標の一つであった「不妊治療・産前産後のケアに特化した鍼灸サロン」を始めることができました。

今年も更に精進を重ねていきますので、よろしくお願い致します。

 

 

さて、昨年末にこんなことがありました。

昔からの友人であるYさんが治療に来られている際に、最近また子供の癇癪が酷くて困っているというお話になりました。

そして何より、自分自身が幼少期の頃に困っていた症状が最近子供にも発症して不安なのだと。

 

その症状というのは、

・疲れたり寒くなると下半身の全面が痛みだす

・しばらくさすっていると楽になるが、痛む部分が同側・左右の足で移動する

・大人になるにつれて痛みが出ることは少なくなった

というもの。

 

さすって温まるということから血行障害かと思いましたが、痛みが左足から右足へ変わることから病変がどこにあるか見当もつきません。

知り合いの治療家の方に聞いてみたり、医学書を開いてみましたがさっぱりです。

 

そんなとき、Yさんから「もしかするとこれかもしれない」と連絡がきました。

それが「小児四肢疼痛発作症」という疾患の研究発表のデータでした。

 

この疾患は2016年5月に京都大学の小泉昭夫教授らの研究グループによって発表されました。

発表によると、昔から疳が強いといわれている子供の中には、遺伝子変異が原因で外的要因(寒さ、天候の変化)や体調不良、疲労などにより手足の痛みが誘発されやすい子がいるというものでした。

 

 

この疾患の特徴として

✔乳幼児期に発症する

✔手足や、手足の関節に起こる発作的な痛み

✔青年期にはほぼ痛みはなくなる

✔寒さ・悪天候で痛くなる

✔遺伝性がある(親族にも同じ症状をもつ人がいる)

という点があるそうです。

 

 

診断の確定には遺伝子検査が行われます。

ただし遺伝子検査を行ったとしても診断がつくことは50%以下。

よくわかないこともあるそうです。

 

そして現在この疾患に対する根本治療は不明で、痛みに対してはロキソニンや抗炎症性鎮痛薬や温罨 法(おんあんぽう)などで対処的に痛みをコントロールしていくそうです。

 

Yさんはお子様がまだ小さいこともあり、現時点での遺伝子検査はされていませんが、

京都大学の小泉昭夫教授によるとYさんもお子様も小児四肢疼痛発作症ではないかということでした。

 

 

Yさんは

「痛いと訴える子供をどうにかしてあげたい。自分も小さい頃から痛みが出て辛かったから娘の気持ちがよくわかります。

でもどこに行ったらいいかわからない。レントゲンを撮っても、検査をしても骨にもどこにも異常がないから、どうしたらいいか分からなくて・・・。それが辛いです。」

とおっしゃっていました。

 

親にとっても、自分にとっても、どうして痛いのか、どこが悪いのかわからずに痛みと向かうことも精神的にも辛いのです。

 

 

少し前まではただ疳が強い、癇癪持ちと大きなグループにひとくくりでしたが、このように日々研究が進み、泣きじゃくる子供も中には遺伝子の変異という原因があるということがわかりました。

現在、小児四肢疼痛発作症に対する根本的治療は研究段階ですが、この疾患の発見によって、痛いといって泣きじゃくる原因が分からないまま過ごす辛い状況は緩和されることと思います。

 

この疾患の痛みに対して、鍼灸師の私は何ができるのか・・・。

まだまだ勉強が必要ですね。

 

もしかして私も?!とピンと来られた方は是非こちらをお読みください↓↓

【京都大学 発表   小児四肢疼痛発作症について】

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/160527_1.html

 

 

 

2017.12.15妊娠前から育児は始まっている

こんにちは。鍼灸師の楠田由佳です。

ここ数日はぐっと冷え込みましたね(;’∀’)

 

さて、12月26日でLuLie鍼灸院をオープンして半年になります。

このような小さなサロンにもかかわらず、友達の紹介でもなくご新規で来て下さる方もいらして、感謝しかありません。

オープン後、半年で4名の方から「妊娠反応がでました」とご報告いただきました。

連絡を頂いた瞬間、私まですごく嬉しくなります!本当におめでとうございます!

きっとこんな短期間で結果がでるということは、私のところで治療しなくても、もともと赤ちゃんを授かる力はお持ちだったのだと思います。

 

 

さて、わたしは妊娠前、妊娠中、産後のケアを一貫して行うことがとても大事だと考えています

 

まず着床・妊娠、そして出産にはとてつもなくパワー(栄養・気血)が必要です。

栄養・気血、そして精神面・・・すべての土台がしっかりと固まっていらっしゃる方は、妊娠初期から出産まで元気に過ごされている方が多いです。

逆に体の土台がぐしゃぐしゃ・ゆるゆるの体のままの妊娠されると、マタニティ期・出産後の不調やトラブルが多くなります。

だから妊娠前から体を整えておく必要があるのです。

 

 

妊娠すると、どんなにどんなに補給しても、お母さんの栄養は赤ちゃんの成長にぐんぐん使われます。

栄養と気血は、妊娠中だけに限らずいつも補給して満たしておかなければなりません。

 

栄養と気血が足りていないと、月経前の不快症状が強くなったり(PMS)、精神的に不安定になりやすくなります。

●疲れやすい

●肩こりや頸のこり感が強い

●不安感を感じやすい

●髪や肌がぱさぱさ

 

こんな方は栄養と気血が足りていない証拠です。

 

栄養・気血が足りていない状態のまま、運よく妊娠できたとします。

体がすかすかのまま出産を迎え、育児へ突入してしまうと・・・そこはもう想像を絶する戦場なのです。

 

赤ちゃんとの生活は可愛いだけではありません。自分のタイミングでできないこと、思い通りにできないことしかありません。

睡眠不足も続きます。朝までぐっすり寝ることができると奇跡が起きたとさえ思う日々です。

小さな赤ちゃんの命を守っているので、知らず知らずのうちに日々緊張状態が続きます。交感神経が24時間フル活動なのです。

 

そんな過酷な毎日を、栄養不足・気血不足の体のままいつまで耐えられるのでしょうか。

だんだん気持ちが滅入ってきて、わけもなくイライラしたり泣きたくなったり…。

いつも気持ちが不安定、めそめそしてしまう、そんなお母さんと接していると、子供も同じように精神的に乱れやすくなってしまいます。

 

そうすると負のスパイラルですね((+_+))

 

そんな時は、まずご自身の体を大切にしてください。

おいしい物を食べる(お菓子やスイーツではなく)、旦那さんに一晩子供を預けてぐっすり寝る、マッサージを受けに行く・・・。

 

お母さんの体を妊娠前から整えておくことは、産後の育児を楽にするためでもあります。

育児は妊娠前から始まっているのです。

冬は気血・精力を貯金する季節!

ギスギスの育児にしないために、妊活中の方・妊娠中の方は出来る限り早く寝てください。

夜間の授乳で寝れない方も、赤ちゃんが寝た後に携帯やテレビを見て過ごすのではなく、少しでも一緒に寝てくださいね。

 

2017.11.20なぜ、今さら小児鍼?

小児鍼って、ご存知ですか?”赤ちゃん鍼”や”こどもの鍼”とも言われたりしています。

小児鍼は大阪発祥の技術で、小児鍼専用の器具を用いて軽くさすることで刺激を与える鍼の一種です。

刺したりせず、さするだけだから受けている本人も気持ちがいい。

そして親は注射のように、「痛ーいっ!」と泣き叫ぶ子供を見ずに済むから心が痛みません(^^)

 

私は娘に0歳の頃から定期的に小児鍼をしています。

きっかけは夜泣きでした。

 

抱っこでしか寝付かない、やっと寝付いて布団に寝かせても30分ほどで起きる、だから昼でも夜でも胸の上で抱っこしたまま寝かせていました。

始めはすべてが可愛くて愛おしくても、そんな状態が半年以上続くとさすがに疲労とイライラが溜まります。

主人は娘が隣で泣いていても起き上がろうともしないので、余計に腹が立ちます。

 

だから小児鍼を始めました。

小児鍼をしたからといって、急に「朝までぐっすりでした!」なんてことはありませんが、徐々に30分が1時間になり、1時間半になり、布団に寝かせても寝てくれる時間が長くなっていきました。

 

それは小児鍼のおかげだったのか、ただ成長により寝方を覚えて長くなったのかは正直分かりませんが、それでも私自身の気持ちが楽になっていったのは覚えています。

現在2歳半になり夜泣きがなくなった今でも、鼻詰まりがひどい時、夜中に咳がひどくなる時など、風邪症状の時にも行っています。

 

小児鍼で治療できる症状は沢山あります。

 

①睡眠障害:夜泣き、夜驚症

②異常興奮:よく怒る、よくケンカをする、人をかむ、物を投げつける

③摂食不良:食べない子、口内炎、腹痛、便秘、下痢、好き嫌いの多い子

④排尿障害:夜尿症

⑤呼吸器系の症状:小児喘息、風邪、扁桃腺炎、鼻炎

⑥その他:アトピー性皮膚炎、湿疹、チック症、どもり、中耳炎など・・・

 

ここに載せていないものもあります。

 

ワクチンの完成のおかげで小児の疫病の流行は少なくなりましたが、その分子供が獲得していかなければならない免疫力が低下してしまっています。

大人になってストレス社会の中に身を置くようになると、その免疫力の低下が顕著に現れます。

 

自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整え免疫力を高める、しかも気持ちの良い方法が小児鍼なのです。

 

 

誰のために受けさせるのか…答えは母親です。

医学が進歩しワクチンも普及した今、なぜ小児鍼なのか。

もちろん子供の免疫力獲得も大きな理由の一つですが、小児鍼は虐待予防にもなるからです

 

近年、毎日のように親からの虐待によってなくなる子供のニュースが後を絶ちませんよね。

虐待の原因は色々ありますが、それまで大切に可愛がって育ててきた両親が少しずつ変わってしまう、その初めはとても些細なことから始まると思います。

 

「寝ない」「食べない」「自分の思い通りにならない」「よくケンカをする」

これは半健康状態といえます。

病名がつくわけではありません、実際病気でもありません。けれど、すこぶる健康というわけでもない、そんな状態。

この半健康状態が長く続くと、精神的に親はゆとりをなくしてしまいます。

 

特に妊娠・出産した後は、子供と2人で狭い世界にいるような気がする時期ですよね。

睡眠不足・思い通り物事が進まない、しかもいつ終わるかもわからないイライラがたまるしんどさを、男性には理解してもらえないと思います。

 

小児鍼をするとよく寝る、食べれるようになる、丈夫に育ってくれる。

そうなると、すこーしだけ気持ちが楽になります。可愛い子供を、大きな気持ちで見守ることができます。

 

また治療を受けるために外へ出ます。小児鍼を受けるのだから、鍼灸院側も赤ちゃんが泣いていても気にしない。

お母さんの気分転換にもなります(^^)

 

 

整体でも子供の治療は親の治療ともいいます。

親は子供の鏡だから、イライラしたり、気が立ってると子供までそうなってしまう。

実際、幼い頃からの両親からの養育態度(特にお母さんの態度)と、腰痛や肩こりなどの疼痛には関係があると研究結果が出ています。

そのくらいお母さんの子供に与える影響は大きいのです。

 

子供のため、お母さん自身のゆとりを生み出すものが小児鍼です。

 

2017.10.27東洋医学とは part5

こんにちは!

先週末の台風はとても勢力が大きかったですね。大阪に来て10年になりますが、こんなに台風が怖いと思ったことは初めてかも・・・。

みなさまの周りは被害ありませんでしたか?

 

さて、今日は女性にはよく知ってほしい「脾・胃」のお話です。

不妊の方の治療をする時だけではなく、女の人の体を診るときはとても重要なポイントとして診ています。

それはなぜか・・・さっそく始めます!

 

脾は横隔膜の下あたり、胃と同じ膜の上にあるとされています。

形は馬蹄のような三日月のような形をしていて、飲食物の消化に深く関わり、気・血・津液(体の水分)の大元とされています。

 

西洋医学的な脾(臓)のとらえ方は免疫や造血、血液の貯蔵に関わるとされているので、東洋医学的なとらえ方と大差はありませんね。

 

東洋医学的な脾の働きのとらえ方は

〇食べた物をエネルギーの元に変換する

〇内臓が下がらないようにつなぎとめる

〇栄養物質を全身に運ぶ

〇吸収した栄養や水分を全身に運ぶ

〇血が脈外へ漏れ出さないように調節する

 

なかなかの働き者です(^^;

これらの機能によって、私たちは手足を正常に動かすことができ、各臓腑の間で繋がっている経絡が正常に流れるのです。

 

もしもこんな働き者の脾が過労で弱ってしまい、正常に働くことができなかったら・・・

 

食欲は弱まり、食べても消化不良を起こして栄養を吸収できなくなります。

栄養を吸収できていないので肌肉は痩せ、エネルギーがないのでいつも無力感があり、動くとすぐに疲れてしまう。

内臓を持ち上げる力がなくなってしまうので胃下垂や子宮下垂、脱肛なども脾の機能低下による症状の1つです。

月経の際に血量が多かったり、周期が短い(月経過多)のは、脾の血を固める力が弱まっていることが原因と考えます。

 

脾は「思(う)」という感情を司っています。思うとは思慮・思考のこと。

考えすぎや憂鬱が続くと脾が痛み、気の運動を妨げ、気滞や気結を起こしやすくなります。

気滞は文字の通り「気が停滞」してしまうことですが、この状態になると胸や脇が苦しい感じになり息苦しさを感じたり、お腹が張ってきます。

 

冒頭に、特に女の人に知ってほしいと言ったのはこのことなのです。

少し先のことにも備えておきたい習性をもつ女性は、考え事がとにかく多い。私もそうです。

そしてまだ起こっていない2歩も3歩先の心配も自ら探して、作って、また考える項目を増やしてしまう傾向があります。

こんなことをしていたら脾は24時間勤務をしているのと同じなので、慢性的に疲れてしまいます。

 

考え事は減らし、先のことは1歩先のことだけを考えましょう(お仕事は別として)。

それくらいが、女性にはちょうどいいのかもしれません。

 

脾の状態が現れる体の場所として、口や唇、涎(よだれ)があります。

食べることと深い関係があるため、すべて味覚に関係していますね。

唇は気血の状態を表すので、唇が割れやすい、血色が悪い(色が薄い、青紫色)唇をされている方は脾の機能が弱まり、気血が足りていない状態の方です。

 

脾とペアである胃の働きは食べた物を受け入れ、消化し、そして小腸に降ろすことです。

そのことを東洋医学では「受納・腐熟・通降」といいます。

 

食べた物を胃に受け入れ、消化し、小腸へ送ることで新たなスペースを作り、また食べ物を受け入れることができ、私たちは生きるための血や水分や気を作ることができるのです。

もし胃の働きが弱まり、この一連の働きが低下してしまうと、しゃっくりや胸やけ、吐き気として体に現れます。

 

 

 

そして、脾と胃が消化するものは食べ物だけではありません。

嫌なこと、不快に感じたこと、あなた自身に起こった物事すべてのこと指します。

 

納得してすっきりする様子を「腑に落ちる」と表現しますよね?腑は臓腑の腑です。

自身が納得出来ていないことは、ずーっと頭や心やお腹にとどまり、停滞して、そして体を傷つけてしまっているのです。

もちろん、全てのことをきれいさっぱり終わらせることなんてできませんが、

それならそのことに捕らわれるのをやめて断つ努力をしましょう。それはあなたの体のためでもあります。

 

不妊治療に来られる方や、どこかに不調を抱えている方はこの考えすぎ・物事の消化が得意ではない方が多いと思います。

考えを断つ・減らす努力をしていきましょうね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017.10.22東洋医学とは part4

こんにちは。鍼灸師の楠田由佳です。

ここしばらくはお灸講座のリーフレット作りや、娘の看病でばたばたしておりました(^^;)

 

東洋医学を知りたいという方向けのシリーズなので、興味のない方はスルーしてくださいね。

ですが、こうやって東洋医学について教科書やノートを開いてまとめていると、やはり勉強にもなって、患者様に説明させて頂く際に伝えやすくなってきました!

 

資格を取ってからが、本当の勉強の日々ですね。

では早速本題に入りましょう!肝と胆のペアの次は「心・小腸」のペアです!

 

心は肺の下で横隔膜の上に位置していて、4本のつり糸が出ており、他の4つの臓(肝・脾・肺・腎)に通じているとされています。

 

心の仕事は

①血脈の流れをコントロールすること

②精神活動を支配すること

 

 

血を押し出し、血脈中を運行させ、体の中の各組織・器官に栄養を送り届けてくれます。

正常に働いていると脈(拍動)は規則正しく打ち、力強く滑らか。

しかし心の働きが弱まり血脈がスムーズに流れなくなると・・・

脈は弱く、渋るような、ぎこちない脈となります。不整脈の方に多くみられます。

 

また精神活動を支配しているので、心の安定と調和を保ってくれるように働いてくれています。

そのため心は「神(精神)」を宿すとも言われています。

 

心の働きが正常で血で満たされている時、私たちの精神は安定し、思考は正常に働きます。

問題に対しても思考がよく働きますが、機能が弱まってくると不安や焦燥感にかられたり、不眠や夢を多く見るなど睡眠にも症状が現れます。

 

心の健康状態は顔・舌・汗など場所に現れます。

心が元気に働いてくれていると、顔は艶が出て潤いがあり、味覚は正常に働き、自分の精神(考え)を伝えるために舌を使って話すことができます(^^)

心が元気ない時ってありますよね?そんな時、今日は顔が暗いね~なんて言われたことありませんでしたか?

心の状態は顔に現れます。

 

他には喜びなどの働きも備えています

「心の汗」と例えて言ったりもしますが、臓象学説では心は汗を司るとしていて、温度や運動量に合わせて汗の量を調節してくれるといわれています。

また心は「喜」という感情を司っています。

喜ぶという感情は、人体に対していい刺激を与えてくれる感情ですが、喜びすぎるとかえって心神を傷つけてしまいます。

嬉しいことがあった時こそ、気を引き締めないとですね。

 

 

心とペアを組んでいる小腸は胃の下口(幽門)に接していて、食べ物を入れ、大腸の上口と接するとされています。

体の中の位置関係といい、西洋医学的な小腸の概念とほぼ同じですね。

小腸の働きは

1・胃から送られて飲食物を受け取り、更に消化してエネルギー(水穀の精微)と変化させること

2・その消化した飲食物を、人体に有益なものか・不要なものかに分別すること

 

 

食べた物を消化し、エネルギーに変え、必要のないものは水分と混ぜて便として排泄させるのが小腸の働きです。

小腸の働きが悪くなってしまうと、下痢や下腹部痛・尿の異常(血尿や排尿時通)として現れます。

小腸は、西洋医学でも東洋医学でも消化と排泄に関係しているとされているので分かりやすいですね(^^♪

 

心と小腸ペアについては以上です!

東洋医学シリーズはマニアックな方向けなので、長引かせたくないのですが・・・

次のペアは女性にとってとても重要な場所なので、濃く濃くお伝えしたいなと思います。

 

 

2017.10.04東洋医学とは? part3

こんにちは!

息抜きに違うテーマをいくつか挟みましたが、そろそろ東洋医学シリーズを再開していきたいと思います。

 

次にご紹介する理論は臓象学説といって、臓腑にはそれぞれ役目や関係の深い器官があると考えて、「今不調を起こしているのはどこの臓腑かなぁ~」と考えていく理論です。

私たち鍼灸師は患者さんの訴える症状や、体に現れているサインを読み取って、どこの臓腑がどんな病によって弱っているかを考えて治療方針を組み立てていくので、この考え方はとっても大切です。

 

「臓=内臓」「象=外に現れている内臓の不調サイン」

 

人の不調や病の現象を観察して、各臓腑と照らし合わせることによって、その相互関係を解き明かす理論のことです。

はるか昔の人たちが解剖を行うことで得た解剖知識や、症状とその原因の関係性を長い歴史をかけて観察して得た知識と経験から成り立っています。

 

臓腑とは内臓の総称のことで、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓と、「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」の六腑を指します。

この五臓六腑にはそれぞれペアとなる相手がいて、ペア同士・ほかの臓腑同士でお互いにバランスを保ちつつ、助け合ったりして正常な働きを行っています。

 

まず、肝と胆のペアからいきましょう。

肝の働きは「気血が止まらないように動かすこと」です。

中に取り込んだり外に出したり、上にあげたり下にさげたり常に気血を動かし巡らすことで、人が正常に生命活動を行えるのです。

 

そしてもう一つの働きは「血を貯蔵する」こと。これは西洋医学的な解剖と同じですね。

イラストは肝が関係している(司っている)器官や物事を集めたものです。

体の器官だけではなく、感情や意志、味覚や季節などもあります。こういう点が西洋医学と東洋医学の大きな違いです。

 

さて肝の働きがスムーズに行われていると、筋肉はスムーズに動くので機敏に力強く動くことができます。

爪はほんのり赤く艶があり、硬さもあるので簡単に割れたりもしません。目は適度に潤いを保つことができ、ドライアイになることもなく物事がよく見えます。

 

しかし何らかのことが原因となり働きが弱くなると・・・

イライラしやすくなったり、爪が白く割れやすくなったり、肝の病(肝硬変など)におかされ目が黄色くなったり、肝に関係する器官にサインが現れるようになります。

 

なんのこっちゃかと思いますか?

運動後にたくさん筋肉を使った後、疲労回復には梅干しやクエン酸を摂取すると良いとされていますが、どちらも酸っぱいもの。

青春のことを「青い春」と、春といえば世間一般的なイメージではピンクですが、青を使って表現しています。

気づいていないうちに、実は臓象学説に触れてたりします。こう考えると、すこーしだけ身近に思えてきますよね。

 

 

もう一つ、肝とペアとされている「胆」の働きは「胆汁の貯蔵と排泄」。

胆汁は脂肪の吸収を助ける分泌液です。このことから、食べたものをスムーズに消化にするために大切な場所です。

そして「決断を司る」ともいわれています。

肝が巡らした考えを、胆が決断を下すことで行動力の源となるのです。胆の働きが低下するとよくため息がでたり、頭の中であれこれ考えはするけれど中々決断を下せず、行動に移せなくなってしまいます。

 

 

ものすごくイライラしたときに、「腹が立った」「カッとして頭に血がのぼった」など、実際怒ってもおなかは立ってないし、血がのぼっているわけではないけれど、昔から日本人は身体を使ってこんな風に例えてきました。

 

このことを鍼灸の学校の授業で教えて頂いたときに、わたしは東洋医学をとても身近に感じ、そしてもっと知りたい、深く勉強したいと思いました。

 

難しそうな東洋医学ですが、みなさんに少しでも知って頂いて好きになってほしいです(^^)

2017.09.19妊娠中の秋の過ごし方

こんにちは(^^)

9月も半分を過ぎて、ますます秋らしくなりましたね!

この時期は夏の疲れがドッと出てきたり、空気が変わり不調を感じやすくなる方も多いと思います。

 

妊娠中は特にホルモンバランスも1日1日変化するので、体調や心の状態もコロコロ変わりますよね。

だからこそ、季節に合わせた生活をして体を整えてみませんか?

 

 

妊娠中は血液中の水分の含有量が高くなることで、血液が薄くなり特に貧血傾向になりやすくなります。

それに加えて、夏を乗り切った体には造血の原料となるものが不足しているため、さらに貧血傾向に向かってしまいます。

 

実りの秋、食欲の秋・・・秋に美味しいものが多いのは、暑さで食欲が落ちて栄養不足になりやすい夏の体に栄養を補給するためかもしれませんね。

食欲が回復する秋の間に、美味しい食事から鉄分を補給しましょう!

 

そんな秋に摂って頂きたい食品は・・・

温かいスープ・レバー・あずき・たまご(加熱してあるもの)

あずき・レバー(動物の内臓)・たまごには鉄分が豊富なので、秋の鉄分補給にはおススメ。

わたしはレバーが苦手なので、鉄分の他に亜鉛や女性ホルモンを作る原料となるコレステロールを含んでいる砂肝を取り入れています。

またこれらのものと、フルーツのようなビタミンCを含む食材を一緒に摂ると鉄分の吸収を促進してくれます

 

よく鉄分補給にはほうれん草とも言われていますが、ほうれん草に含まれる鉄分は非ヘム鉄であり、体への吸収率は低くなります。

また、ほうれん草に含まれている苦み成分「シュウ酸」は鉄分と結合しやすい性質を持っています。

鉄分と結合しやすいと何が問題かというと、シュウ酸と結合してしまった鉄分は体内に吸収されることなく排泄されてしまい、利用される鉄分はほんのわずかだということ。

その他にも「シュウ酸」は味覚・食欲にかかわる「亜鉛」や、胎児の骨形成に不可欠なカルシウムなどの「ミネラル」とも結合し、便から排出してしまったり、結石の一因ともなってしまいます。

これらのことから、妊娠中はほうれん草ではなくあずきやレバーなど、他の食品から鉄分を補給しましょう

 

身体の水分を補給し蓄えるには、温かいスープ。

お味噌汁でも、スープでもどちらでも大丈夫です(^^)

やまいもやさつまいも、さといもなどの秋の養生に役立つ食材を具にするのがおすすめです。

注意することは、いくらおすすめの食材だからと言ってこればかりを食べたりしないこと。

体に良いとされるものでも、摂りすぎは毒となることを覚えていてください。

 

 

秋は「収:シュウ」の季節といって、気や汗を体内に収め、潤い(陰)を補う季節といわれています。

温かいスープ・食事からの鉄分補給など、季節に合った食事や生活をすることで、体と心を整え、日々を健やか過ごすことができますよ。

 

最近マタニティライフが始まった方も、あと少しで出産を迎える方も、赤ちゃんとご自身のために是非取り入れてみてくださいね。

2017.09.08東洋医学とは? part1

最近、若い女性の方から「東洋医学にすごく興味があるんです♬」というお声をよく頂きます。

それがきっかけで鍼灸も始めたという方も増えています。

私たち鍼灸師にとって「東洋医学」や「はり・灸」は身近なものですが、世間的にはまだ閉鎖的で少し古臭いイメージが根付いている気がしていましたので、とても嬉しかったです(^^)

 

そして興味があります!というお声とともに多い声が

「東洋医学って何ですか?」

「はりとかお灸って、痛い場所と全然違うところに刺してどうして効くのですか?」というものです。

 

大まかにはなりすが、鍼灸治療がどんな考え方を元に成り立っているのかお伝えしていきますね。

 

 

東洋医学とは、中国・日本・韓国など中東アジアの伝統医学のことをいい、漢方・鍼灸・按摩・養生法(薬膳など)を使った医学のことをいいます。

 

東洋医学の考え方の基本は「人間も自然界の一部である(天人合一思想)」です。

わたしたちは絶えず自然環境の変化の影響を受けており、その都度外界の変化に適応させて生きています。

また、人の体を構成するそれぞれの組織部分はお互いに密接に連絡しバランスを取りあっていて、そのため病理的にもお互いに影響しあっていると考えています。

 

 

人間は自然界の一部だと考える東洋医学では、その自然界にあるものすべてを陰と陽に分けて考えます。

この陰と陽はいつも同じ量はなく、常に変化しながらお互いに依存しあい、制約し、バランスをとっています。

なにかのきっかけでこの陰と陽のバランスが崩れ、どちらか片方のパワーが強くなりすぎたり弱くなりすぎると不調や病気の原因となってしまうのです。

このマークはそんな流動的にバランスをとる陰と陽を表すマークなのです(^^)

 

例えば・・・

陽・陽証:上、火、熱、昇、明るい、昼、基礎代謝が高い、交感神経緊張型、冷たい水や冷たい料理を好む、便秘傾向

陰・陰証:下、水、寒、降、暗い、夜、基礎代謝が低い、迷走神経緊張型、白湯や温かい食事を好む

 

このように、形のないものでも特性によってわけて考えるのが陰陽の考え方です。

 

 

五行とは、自然界・人間界の事物を木・火・土・金・水の5種類の物質と運動の変化に分類する考え方です。

この5種類のものの間にもお互いに生み出し、お互いに制約するという関係が成り立ち、バランスの取れた平衡状態を保っているのです。

そして、この木・火・土・金・水の5種類の特性の中に、臓器や器官や季節や感情を振り分けます。

 

例えば・・・

肝は「怒る」という感情を司ります。怒りすぎると肝を傷つけてしまい機能が落ちてしまいます。

また、肝が司る味は酸。酢の物などすっぱいものを食べることで肝の働きを助け、養生してくれます。

 

このほかにも、方角や色、涙や涎などの分泌液、声色など、すべての事物を特徴・作用・形態に分類しています。

これらは身体のどこが弱まっているのか、逆にどの働きが強すぎるのかを考えるためにとても重要な分類になってきます。

 

私たち人間は自然の一部ですので、どちらかが強くなりすぎてもいけない、弱すぎてもいけない。

強すぎるものがあればそれを抑制する力があり、逆に弱すぎるところは補って助けてあげる力があります。

陰陽の考え方にしても、5種類のタイプ別に分類する考え方にしても、東洋医学はバランスをとても重要視しています

 

 

今回はまず鍼灸の学校に通う学生が、必ず最初に学ぶ東洋医学の理論を2つ紹介いたしました。

私の復習も兼ねていますので、まだまだ続きます。しばらくお付き合いくださいませ(^^)