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2018.01.31東洋医学で診る基礎体温~気虚・陽虚編~

まだまだ寒さが続きますね。

冷えは逆子の原因にもなりますので、妊娠中の方は温かくしてお過ごしくださいね。

 

前回は陰虚(いんきょ)タイプの方の基礎体温をご紹介しました。

低温期にぴょこぴょこと高温期並みにグラフがはねる

生理が始まっても体温が下がらない(ルトラールなどのホルモン剤を飲んでいないのに)

✔ほてりがある

✔肌や粘膜が乾燥気味

✔便秘気味

こんな方が陰虚(いんきょ)タイプです!このタイプの基礎体温がこちら☟

 

 

次はこんな基礎体温の方。

 

✔排卵後、体温が上がるのに時間がかかる

✔高温期にすぐ体温が落ちる

 

これは西洋医学でいう「黄体機能不全」という状態です。

黄体機能不全(高体温が続かない)状態のことを東洋医学では「陽虚:ようきょ」であると考えますが、この陽虚(ようきょ)という状態は「気虚:ききょ」が悪化して起こります。

気を使う、気が滅入る、気が張っている・・・私たちは「気」について、よくこんな例え方を使いますよね。

まさしくその「気」です。気には身体を覆い外からの刺激(ストレス・ウイルスなど)から守ってくれる免疫バリアとしての役割があります。

また、現代でいう酸素の役割もあるので、気虚の(ききょ)状態に陥ると息苦しくなったり、酸素不足から疲れやすくなったり、免疫バリアが弱まることから風邪をひきやすくなったりします。

気虚(ききょ)とは体を守るバリアでもあり、酸素でもある気が不足している状態のことを言います。

 

気を体の中で作るためのは脾や胃などの消化器系の働きがとても大切なのですが、

もともと消化が悪い方がストレスや疲労などで更に消化機能を低下させてしまうことで気が作れなくなり、気虚が悪化して陽虚(ようきょ)となってしまうのです。

 

 

陽虚(ようきょ)は字のイメージ通り、温かいエネルギーが体の中から不足している状態のことです。

消化機能が低下し、気を巡らせることができなくなるため血流が悪ったり、余分な水を排泄できずに停滞させてしまうので冷え起こしてしまいます。

 

子宮が冷えている、手足が冷えている、というような方の治療は冷えに対する治療だけではなく、ストレスや疲労などで消化機能が弱まっている体を助けてあげる治療を併せて行うことが重要です。

 

体も内臓もお疲れ気味(気虚)タイプの方・冷え(陽虚)タイプの方はこんな基礎体温。

 

 

気虚(ききょ)タイプの方は疲れがたまり、卵子を卵巣からポンッと出すことが出来なくなっています。そのためグラフは高温期にかけて徐々に上昇するカタチになります。

陽虚(ようきょ)タイプの方は、冷えがあるため高温期を維持する力が足りなくなっています。そのため、グラフは高温期になっても高温が続かなかったり、途中でガクッと下がるカタチになります。

 

 

陽虚(ようきょ)の方は気虚(ききょ)が進行しておこっているので、気虚(ききょ)の治療が根本治療のポイントになります。

 

気虚のケアにおすすめなのが・・・

だんちゅうは気が不足している体に気を補ってくれるツボです。

ろうきゅうは、お仕事や家事育児など、疲れた心と体をリラックスさせてくれるツボです。

 

陽虚のケアにおススメなのが・・・

 

ちゅうかんは消化器の働きを助け、気の生成を助けてくれるます。またお腹の動脈の近くのツボですので、子宮や卵巣への血流アップにもつながります。

ようりょうせんは字のごとく陽(あたたかいエネルギー)が湧く泉のようなツボです。お腹とセットでお灸をすることで効果が更に期待できます★

 

基礎体温のグラフの様子から読み取ることができるのは身体の本の一面ではありますが、クリニックに行かずに自分で自分の体を知れる大事な情報源です。

ぜひ今の自分の体を見つめなおしてみてください。

 

胃腸が弱く、消化機能が低下している方にとって肉などのタンパク質を増やすことは胃腸に負担をかけしまうことにも繋がりまずが、

よく噛むようにしたり、大豆製品(豆腐・納豆・厚揚げ)やかまぼこやちくわ、卵などを上手く活用してタンパク質増量生活お灸早寝生活を続けてくださいね。

 

2018.01.25東洋医学で診る基礎体温~陰虚編~

こんにちは(^^)

今週からまた冷え込みましたね!大阪もものすごく寒いです⛄

妊活に励んでいらっしゃる方、今妊娠真っただ中の方、冷えに注意してくださいね。

 

さて、妊活に励む方にとって”基礎体温”の計測はとても大切なのですが・・・

なかなか妊娠に至らない時期が続くと、計測自体がストレスに感じたりしますよね。

けれど基礎体温のグラフは、今現在のご自身の体のバランスを読み解く大切な情報源にもなるので、やはり続けて計測することをおススメします。

 

クリニックで提出する基礎体温から、ドクターが何を読み取っているかご存知ですか?

 

✔卵胞ホルモンの機能

✔黄体ホルモンの機能

✔排卵の有無

 

 

こんなところでしょうか。

卵を育てるホルモンが弱ければエストロゲンホルモンの補充を、高温期を維持するホルモンが弱ければプロゲステロンホルモンの補充をお薬や注射にて行います。

 

不妊鍼灸を行っている鍼灸院に行くと、基礎体温を見せてほしいと言われることがあると思います。

私もサロンに来られる方には基礎体温を見せて頂くようにしています。

お医者さんでもないのに・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、鍼灸師なりの診るポイントがあるのです。

 

女性の周期は低温期と排卵期、高温期に分けられますよね。

東洋医学ではすべてのことを陰と陽に分けて考える(陰陽学説)ので、低温期は陰高温期は陽と診ます。

もし低温期にぴょこぴょこと高温期並みに体温が上がる方、もしくは月経が始まったのにも関わらず高温期が続く方は、体を潤す力(陰)が弱まり体内に不必要な熱がこもってしまうという見方をします。

これを東洋医学では陰虚(いんきょ)といいます。

 

陰虚の方はほてりや口の渇き、便秘がちで肌や粘膜の乾燥がみられます。

 

<陰虚の方のグラフ例↓>

こんな方には体の潤いを補い、不必要な熱をとるツボと体の潤いを補うツボを選び治療していきます。

 

 

何度も言うますが、陰虚(いんきょ)という状態は、体の中の「水」が足りておらず潤いがない状態のことをいいます。

熱を冷ますための水を補い、体に潤いが溜まるようなツボがお勧めです。

 

指でゆっくり押したり、お灸で温かい刺激を与えてあげましょう。

また陰は夜に作られますので、低温期に高温期並みにぴょこぴょこと体温が上がる方、生理が始まっているのに高体温が続く方は夜更かしをせずに早寝を心掛けてくださいね。

 

基礎体温のグラフに一喜一憂するのではなく、ご自身の体を知る一つの情報として計測を続けてみてください。

グラフからわかることはたくさんありますよ(^^)

 

2018.01.05小児四肢疼痛発作症

明けましておめでとうございます。

昨年は沢山の方に助けて頂き、目標の一つであった「不妊治療・産前産後のケアに特化した鍼灸サロン」を始めることができました。

今年も更に精進を重ねていきますので、よろしくお願い致します。

 

 

さて、昨年末にこんなことがありました。

昔からの友人であるYさんが治療に来られている際に、最近また子供の癇癪が酷くて困っているというお話になりました。

そして何より、自分自身が幼少期の頃に困っていた症状が最近子供にも発症して不安なのだと。

 

その症状というのは、

・疲れたり寒くなると下半身の全面が痛みだす

・しばらくさすっていると楽になるが、痛む部分が同側・左右の足で移動する

・大人になるにつれて痛みが出ることは少なくなった

というもの。

 

さすって温まるということから血行障害かと思いましたが、痛みが左足から右足へ変わることから病変がどこにあるか見当もつきません。

知り合いの治療家の方に聞いてみたり、医学書を開いてみましたがさっぱりです。

 

そんなとき、Yさんから「もしかするとこれかもしれない」と連絡がきました。

それが「小児四肢疼痛発作症」という疾患の研究発表のデータでした。

 

この疾患は2016年5月に京都大学の小泉昭夫教授らの研究グループによって発表されました。

発表によると、昔から疳が強いといわれている子供の中には、遺伝子変異が原因で外的要因(寒さ、天候の変化)や体調不良、疲労などにより手足の痛みが誘発されやすい子がいるというものでした。

 

 

この疾患の特徴として

✔乳幼児期に発症する

✔手足や、手足の関節に起こる発作的な痛み

✔青年期にはほぼ痛みはなくなる

✔寒さ・悪天候で痛くなる

✔遺伝性がある(親族にも同じ症状をもつ人がいる)

という点があるそうです。

 

 

診断の確定には遺伝子検査が行われます。

ただし遺伝子検査を行ったとしても診断がつくことは50%以下。

よくわかないこともあるそうです。

 

そして現在この疾患に対する根本治療は不明で、痛みに対してはロキソニンや抗炎症性鎮痛薬や温罨 法(おんあんぽう)などで対処的に痛みをコントロールしていくそうです。

 

Yさんはお子様がまだ小さいこともあり、現時点での遺伝子検査はされていませんが、

京都大学の小泉昭夫教授によるとYさんもお子様も小児四肢疼痛発作症ではないかということでした。

 

 

Yさんは

「痛いと訴える子供をどうにかしてあげたい。自分も小さい頃から痛みが出て辛かったから娘の気持ちがよくわかります。

でもどこに行ったらいいかわからない。レントゲンを撮っても、検査をしても骨にもどこにも異常がないから、どうしたらいいか分からなくて・・・。それが辛いです。」

とおっしゃっていました。

 

親にとっても、自分にとっても、どうして痛いのか、どこが悪いのかわからずに痛みと向かうことも精神的にも辛いのです。

 

 

少し前まではただ疳が強い、癇癪持ちと大きなグループにひとくくりでしたが、このように日々研究が進み、泣きじゃくる子供も中には遺伝子の変異という原因があるということがわかりました。

現在、小児四肢疼痛発作症に対する根本的治療は研究段階ですが、この疾患の発見によって、痛いといって泣きじゃくる原因が分からないまま過ごす辛い状況は緩和されることと思います。

 

この疾患の痛みに対して、鍼灸師の私は何ができるのか・・・。

まだまだ勉強が必要ですね。

 

もしかして私も?!とピンと来られた方は是非こちらをお読みください↓↓

【京都大学 発表   小児四肢疼痛発作症について】

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/160527_1.html